ここでは、スタジオ用リファレンス・ヘッドホンとして

高い基本性能を獲得した“T50RP”の、

技術的な背景についてご説明します。

確かな開発技術をバックボーンとして誕生した

T50RPの“Inside”を、是非ご覧ください。

 

●T50RPに採用された、RP振動板の特長

T50RPは、その呼称の通り、通常のダイナミック型ではない“RP”(Regular Phase:全面駆動型)タイプの振動板を採用しています。このフォステクス独自の振動板であるRP振動板は、既にT20RP/40RP(在来機種)で高い評価を得ており、特に米国においては“スタジオリファレンス”の地位を築き上げ、スタジオレポートなどの雑誌記事中で有名アーティストが装着しているシーンを頻繁に見かけることができます。

使用経験のある方なら、その音が従来のダイナミック型のものとは一線を画した、いわゆる“RPサウンド”であることを既に良くご存知の事と思います。

さて、新製品のT50RPは、この定評あるRP振動版を採用していることはもちろんですが、シリーズの最上位機種と呼ぶにふさわしい、以下に示すような特長を備えていますので、ご紹介しましょう。

 

1.ジグザグ形状のプリンテッド・コイル(ボイスコイルに相当)パターンを採用し、縦方向、横方向の動きが均等である(ぶれがない)ため、特に中高音域の情報量が増し、例えば、ヴォーカルのリアリティーなどが大変優れています。また、プリンテッド・コイル素材に銅箔を採用することで、高耐入力及び、さらなる音質の向上を実現しています。

2.ベースとなるフィルム材には、高耐熱素材として定評あるポリイミドを使用。これにより、プロ用ヘッドホンに不可欠な高耐入力性を獲得しています。

振動板全体の形状

プリンテッド・コイルのパターン拡大図

 

 

 

●T50RP振動板のレーザードップラー振動測定結果

次に新型RP振動板の振動モードについてご紹介します。この測定にはレーザードップラー振動測定という技法を用いますが、ご覧の通り、一般的な直線パターンのものと比較して、不要な共振による“暴れ”が少ない事が見て取れます。このことは、その再生音が非常にリニアで、いわば“原音を忠実に再現する能力”が備わっている事を意味します。リファレンスというからには、入力信号に“何も足さない/引かない”というコンセプトが重要なのは言うまでもありませんが、この最も重要な課題が見事に解決されていることが、ご理解いただけると思います。

T50RPのダイアフラム振動モード(9.4kHz)

一般的な直線パターンの平面振動板の例(9.95KHz)

 

 

 

●T50RPに採用された、磁気回路の特長

RP方式の磁気回路の大きな特長として、“上下のマグネットを反発させることで大きな有効磁束密度を得て、その間に振動板を挟みこむ”という点が上げられます。これにより、RP方式の磁気回路は“振動板の振動方向に対して、対称の磁束密度分布を得る”ことが可能となっており、圧倒的なリニアリティーを得る事に成功しています。T50RPでは、この画期的なRP方式の磁気回路をさらに進化させ、マグネットに“棒状ネオジムマグネット(30×4×2mm)”を採用。その結果、より大きな磁束密度を得る事に成功し、RP方式の弱点とされていた能率の大幅な向上に成功しました。下図はその磁束の概念を表した磁気回路の断面図と、実物の写真です。

磁束概念図

磁気回路写真 (片側)

 

 

 

●3次元FEM磁場解析結果 (1/8モデル)(FEM:有限要素法)

次に、磁気回路の3次元FEM磁場解析結果についてご紹介します。T50RPの開発にあたっては、このような磁場解析シミュレーションを徹底的に行い、効率の良い磁束密度の確保に成功しました。それにより、図が示している通り、振動板に対して有効な磁束密度分布を得ることが可能となり、結果として理想的な磁気回路が実現しました。

磁束密度分布図

 

 

 

●2次元FEM磁場解析結果

次に、磁気回路の2次元FEM磁場解析結果についてご紹介します。“空気部コンター図”の赤色の部分をご覧下さい。これは、コイル部近辺に高い磁束密度が集中していることを示しています。また“ベクトル図”を参照すると、磁束の方向がコイル部分に有効に分布しており、不要な漏洩磁束が発生していないことが見て取れます。このように、T50RPでは効率の良い磁束密度の確保に成功し(最大磁束密度約:6,000 gauss)、高い能率を実現しました。

空気部コンター図

コイル部近辺に高い磁束密度が集中している。(図の赤色部)

 

ベクトル図

磁束の方向がコイル部分に有効に分布し不要な漏洩磁束が発生していない。

 

 

 

 

●筐体強度の確保と不要共振の低減

T50RPは、筐体構造の面でも新たな設計技術を施し、ドライバーユニットとハウジング間に“連結ポール”を入れる一体化構造を採用しています。この連結ポール方式により、プロ用ヘッドホンに不可欠な“強度”を確保 しながらも、 重量の増加を最小限に抑制 し、かつ、 徹底した不要共振の低減も実現しています。

また、この“連結ポール”の接触面には特殊制動材を挟み込んであり、共振のピークを抑えているため、“スピード感のある低音再生”と“クリアーな中高域再生”を実現しています。

 





以上のような、数多くの新技術を背景に誕生したT50RP。

その、次世代を担う究極のリファレンスサウンドを、

是非あなたの“耳”でご体験ください。